境界標の設置

依頼された土地が登記されたのは昭和38年6月6日。
正に高度経済成長期。
地方から多くの人が都を目指していた時代だ。

建築基準法第42条第1項第5号(位置指定道路)により宅地造成された土地。
関係土地所有者の協力を求め資料を収集、登記された当時の筆界調査が完了し、登記官により筆界が認定された。

昭和38年に埋設された境界標石。


地盤面よりも40cm以上深く埋設されていた。

一度引っこ抜き・・・


境界石の底を見ると丸い窪みが。

昭和30年第〜40年代に流行った境界石の種類。
境界石を作る型枠に、予め丸い窪みを付けてセメントを流し込み、型枠を外せば完成。
境界標の種類により、埋設された年代が推定可能。
土地が生成された時代背景や地勢を読込む。

窪みをセメントで埋めて、カッターで→を刻み赤いペンキを塗る。

地盤面より少し高めに設置。

石杭を設置する時は傾いて設置しないよう、水平器を使って垂直に設置。

傾いて設置してしまうと、境界点がずれたと思われる。

境界標は永続性のあるものを設置。
ボンドで貼付けると、ボンドが経年劣化により硬化してしまい、剥がれて亡失してしまう。

見事に剥がれてしまった痕跡。


ボンドの跡が。

型枠で囲ってセメントを流し込む。

永続性のある境界標を設置し、登記に反映させることによって境界紛争を予防し、安心・安全な財産であるということを、土地家屋調査士が保障している。
日本国憲法第29条により、国民には財産権が保障されているが、登記された土地の範囲を曖昧にしていては、たとえ憲法で保障されていても財産が保全されたことになりません。
境界紛争の予防にも、永続性のある境界標が設置された土地を購入することを勧めます。