第36回つくばマラソン サブスリーへの挑戦!


「マラソンを科学する」
研究学園都市らしいパンフレット。
昭和50年代半ばに「科学の街を走ろう」というキャッチフレーズで始まった大会。
去年の大会では、「スタート」「景観」「交通規制」の3つの視点で「進化するマラソン大会」を目指した。
今年はこの3つに加えて、「給水・給食」を科学した。

名峰筑波山の麓に広がる関東平野
春は桜、晩秋は銀杏並木が学園都市を着飾る。


アップダウンが極めて少なく、全国から1万8千人を超えるランナーを集めた「科学」されたマラソンコース。
好記録が期待できるので、2年連続で走った、コースも天候も厳しい大田原マラソンは避けた。
パンフレットにはカンソウリツ95%、サブフォー42%、サブスリー4%。
サブスリーとは、フルマラソンを3時間以内で完走する意味。
サブスリーランナーのマラソン人口に占める割合は3%だそうだ。意外と多いような気がする。
毎年11月の後半に開かれるつくばマラソン大会のコースは、フラットで走りやすくベストタイムが出しやすい。エントリーは先着順なので、毎年あっと言う間に定員に達する。
去年からはスタート時の混雑緩和のため、ゼッケン順にスタートする「ウェーブ式」を採用した。



多趣味であった私が4年前、マラソンという競技に目覚め、翌年の1月5日、多摩川の河川敷を走ったフルマラソンでは、極寒の中で低体温症になりながらも3時間43分で完走した。
3時間30分以内で完走するサブ3.5を目標にしていたが、そんなに甘いものじゃなく達成することはできなかった。
その後は何度も故障し、かかりつけの整形外科の医師からは「今度は何処が痛いの??」と笑みを含んで聞かれたり、自宅から1時間も掛かる鍼灸整骨院に何度も通い続けた。
特にサブスリーランナーになるために練習し大会にエントリーしていたのでなく、走ることが楽しかったから旅行やサイクリングも兼ねてマラソン大会に参加していた。
去年の6月に足首を故障したのを最後に、数多くの大会にエントリーし、月間走行距離は300kmを軽く超えていても、脚が悲鳴を上げることもなく自己ベストを更新していった。
数えてみたが約4年間で100kmウルトラマラソン3回、フルマラソン18回、ハーフマラソン9回、10kmマラソン5回エントリーしていた。

サブスリーが手に届きそうなところまで見えたのは、3時間10分という記録を出した去年10月のりんごマラソン
上って下る厳しいコースにもかかわらず好成績でゴールした。
その1ヶ月後の湘南国際マラソンでは3時間5分。サブスリーが見えた瞬間だった。
加齢による体力の衰えは否めないが、49歳でサブスリーにチャレンジしようと決心した。
42.195kmを1kmラップ4分16秒以内で走り続ける。そんなことができるのか??
練習内容は?アスリートクラブに入会するか?とか色々考えたが、結局、今までと同じような練習メニューを黙々とこなした。
集団で目標タイムを決めて走る練習をすると、自分の性格から察すればかなり無茶をしてしまいそうだから。
インターバル練習は一度もやらなかった。


フルマラソンのシーズンが終わる6月からは、早朝からバナナ1本程度食べて長距離走を行った。
20km走は連続4回、30km走は1日置きに3回と早朝から負荷の強いトレーニングをやった。
空腹時の負荷の掛かるトレーニングでは、筋力が著しく低下する傾向があるらしいが、走行前にバナナを1本食べて、塩大福を走りながら補給していたのが良かったのか、筋力の低下には至らなかった。
フラットで走りやすいコースよりも、アップダウンの厳しい多摩丘陵を走った。
雨の日も強風の日も休むことなく練習を続けた。


真夏のメロンマラソンでは、去年のタイムを10分以上更新させたが、その後は疲労が蓄積されてしまったか分からないが、北海道フルマラソン、ぶどうハーフマラソン、りんごフルマラソンと不甲斐ないレースが続いた。
厳しい練習の結果、走力は去年よりも格段と上がったが、逆に目的を達成させる気力が低下してしまったようだ。
11月から本格的なフルマラソンシーズンに入るので、負荷の強い長距離走の練習は避け、専ら短い距離をレースペースで走る練習に切り替えた。早朝はカッパを着て10kmのウィンドスプリントで心拍を高め、10時頃からレースペースで10kmという2部練習。カッパを着てジョギングすると、1kmでも大量の汗が出るので、カーボローディングによる体重増を抑えるのに効果があった。ペースは遅いが、汗だくで走ることにより心肺力も強化された。

徐々に気温も下がり呼吸も楽になった11月。ぐんまマラソン大会においてその成果が現れた3時間2分35秒。
30km過ぎの強い向かい風にも気落ちせず、意外と楽にゴールに飛び込めた。
次のつくばマラソンでは、気象条件さえ良ければ確実にサブスリーが取れると確信した。


上州の空っ風に耐えたぐんまマラソンの2日後、馬鹿尾根で有名な丹沢の塔ノ岳を登って脹脛と大臀筋を更に鍛え上げた。




大会前日は中学時代のバドミントン部の同窓会に出席。

2コ上の先輩が全国優勝したトロフィー



全国優勝した先輩が指導していたので、それはそれは厳しかったな!
階段50往復とか腕立て伏せ50回とか凄まじかった。




前列が優勝した3年生で、3列目右側に写っている背の小さいのが私だ。



もやしっ子だったのに明日のフルマラソンで3時間を切ろうとしている。36年経過して強く逞しくなったもんだぜ(笑)




フルマラソンのためのアスリート食やカーボローディングとかあるが、いつも私は呑気に食べたいもの、大好きなものを好んで食べている。さすがに生クリームたっぷりのケーキは控えたが(笑)


葉野菜根野菜たっぷりのお雑煮には鶏の胸肉


大好きなイモサラダ 


大会3日前からお雑煮で炭水化物を多めに摂り、前日の夜食はマネージャー手作りのカルボナーラで仕上げたよ。



週間天気予報では雨マークは現れず、気温は少し高めだが風も穏やかな予報が続いた。
始発電車でも間に合うが、睡眠をたっぷり取りたいので、研究学園駅前のビジネスホテルに前泊することにした。





朝食を買おうと駅前のファミリーマートへ行ったが品数が少なく、5分ほど離れたセブンイレブンで買った。
前回のぐんまマラソン大会とほぼ同じメニュー。ハンバーグが豪華になったよ。


マイ枕のお蔭で、日付が変わる頃には眠りについて爆睡。
毎朝4時半起きが続いていたので、目覚ましが鳴る前に5時前起床。5時間睡眠でも寝不足感はなく目覚めは良かったよ。
熱いシャワーを浴び覚醒させる。
切り餅2個をポットのお湯で柔らかくし、アサリの味噌汁に入れてゆっくりと時間を掛けて咀嚼。
高かった金のハンバーグは濃厚で美味しかった。


大好きなポンジュースは家から持参。果糖は血糖値を急激に上げないと「科学」されている。


前日の天気予報では最高気温が18度となっていたが、大会当日は前日の雨の影響で濃霧!
とてもひんやりとした朝を迎えた。

シューズはターサージール5。この日のために、一度も履かずに本番で勝負!
新品の方がクッションのへたりがないから、気持ち的に1分は早くゴールできるかな(笑)



7時くらいに駅のファミマに入り、イートインで熱いコーヒーを飲みカロリーメイトを食べてマネージャーの到着を待つ。
駅前の広いバス停にはカラーコーンで仕切られたランナー専用のバスを待つ列があるが、何故か誰も並んでいなくてバスが頻繁に何台も発車していた。
15分ほどでマネージャーが到着したが、あっと言う間にもの凄いランナーでバス停は埋め尽くされた。


30分位並び、無料ではない送迎バスで会場へ。260円でPASMOも使えた。
8時過ぎに会場へ到着し、Aブロック脇にある駐車場で待機。
出走25分前になって軽くアップジョグ。
スタート5分前にジャージを脱いでマネージャーに荷物を渡す。
風はないが曇り空で気温が低く、整列後のスタート時間までに身体が冷めてしまう。スタート直前まで暖かい格好でいられるのはありがたい。いつもいつもそばにいてくれて、ほんとうにありがとう。
股関節を回し軽いジャンプを繰り返した。OS1を飲み過ぎてちょっと腹が重たいかな。感覚では57kgちょっとだと思う。
一斉スタートではなく、時間差でスタートさせる大会。スタート時の混雑緩和策なのだが、道路幅が狭く段差もいくつかあるのでスタート位置の問題ではないかなと「科学」してみた。ウェーブスタートだと記録証に順位が記載されない。

Aブロックの最後方に並んでいたので、先頭の位置はジャンプしても見えなかった。


マネージャーにハイタッチしてスタート!まだ肌寒いので手袋とアームウォーマーを着けて走り、ロスタイムは30秒。
ブロックスタートにもかかわらず1kmまでは混雑が続く。脇の歩道を走ってるランナーが多数いた。





オールスポーツのカメラマンを見つけては、右手を広げて左手は一本指で指す、アメリカ次期大統領のトランプのモノマネをやってみた(爆)
アメリカをナンバーワンにしてみせる!!って意味不明だよな(笑)




前日の雨で濡れた路面には落ち葉もあり滑りやすい。



呼吸が落ち着き始めた5kmを通過すると、さすがにランナーもまばらになり、ラップタイムを確認しながら前走者を追い抜く。
ハーフまでの目標ラップタイムを1km4分10秒以内としていたので、5kmラップは20分47秒で通過。
不思議と呼吸は楽でジョギングしているような錯覚感だった。






園都市の風景は駅周辺や大学・研究所周辺だけで、5kmも走ると長閑な農村地帯が目に入る。ブロッコリーやキャベツがたくさん植えられていた。
濃霧の後は低い雲が広がり、100名山である雄大な筑波の稜線は拝めなかったよ。
陽射しがうっすらと差しはじめた10km。41分44秒で通過。ラップタイムは20分30秒。




給水の間隔がぐんまマラソンよりも長いので、確実に飲めるように少しペースを落として給水。
テーピングが効いたのか、右脚の指の付け根はまだ痛み出していない。呼吸は驚くほど楽だ。いくつかの集団に入り、ペースに気を付けながらラップを重ねる。

ぐんまマラソンと似たような左回りのコースだが、陽の光が薄くて路面に影が出ないから、北行きなのか南行きなのか自分が走っている方向が分からない。薄日を浴びた銀杏がとても綺麗だった。

ジョギングしているかのような楽な呼吸で走り続け、15kmラップは1時間2分14秒、ラップタイムは20分30秒。
ウェストポーチからジェルを取って、半分程度を飲みこんだ。荷物を軽くしたかったから、5kmごとに飲むようにした。
脚も呼吸も軽かったので、下り基調と見えたところは押せ押せ状態で走ったよ。深呼吸しながらこんなに速く走れるとは思ってもいなかった。20kmまで1kmラップ4分5秒以下をキープしていた。

次第に指の付け根が痛くなり、激痛に変わり始めた中間地点は1時間27分2秒。スタート時のロスタイム差っ引くと26分台だったよ!またしてもハーフマラソンのベストタイムを3分以上も更新(笑)
と、喜んだのも束の間で、着地の度に襲う激痛に苦しみ、次第に指が痺れて麻痺状態。骨折か??
痛いことは痛いが、走れないほどの痛みではない。かかと付近で着地してみたり、足の外側で着地してみたり、何度も着地のポイントを変えながら耐えて走った。
時々痛みがなくなったりしたので、リタイヤの文字は頭の中から消えたよ。この激痛は気のせいだと。
昨日から沖縄一周サバイバル400kmマラソンを走っているランナーもいるしね。こんな痛みでリタイヤするなんてね。

25km地点通過は1時間42分53秒。ペースが落ちるどころか上がったよ!この時点でサブスリーを確信した。
29kmの折り返し地点。トランプポーズも絶好調!!




30km到達は2時間3分52秒!神ってる!!




残り12kmを1km4分30秒のペースでもサブスリー!?って、悪い癖が出てすぐに計算してしまったよ(笑)
指の付け根の痛みもあり、残りを流してゴールしようか迷ったが、夏場に30km走練習を何度も行った結果なのか、そうはさせるか!と脳が働き、少しペースを落として35kmを2時間25分6秒、5kmラップタイムは21分14秒で通過した。


ここで超高級なジェル「VESPA」投入!激甘っ!不味い!!
何度も襲ってくる激痛に苦しみながらも、あっと言う間に学園地帯の風景になり、40km通過タイムはなんと2時間47分3秒!!自分の力か?科学の力か??ぐんまマラソンよりも4分以上も早く到達!

嬉しくってボランティアに投げキッスの嵐(爆)



沿道の声援には、「ありがとう、ありがとう!!」と手を振り、ラスト1kmにはマネージャー様の姿を発見し!!

生キッス(笑)・・・数人に抜かれました(爆)


ゴール会場へ飛び込んだら、「ありがとう〜!ありがとう〜〜!!」とスタンドへ叫びながら感動のゴール!!



とっても楽しく走れた42.195kmだったよ!

走行記録
https://go-wellness.epson.com/neo-run/user/view/shareWorkout.html?shareId=021161026041163100000000000


マネージャー様が声を震わせながら、夜鍋して作った完走メダルを私の首に掛けてくれました。




大会の景品は、タオルよりもご当地のお菓子を選択。



送迎バスで駅まで戻り、車内でマネージャーから貰ったあんぱんを頬張った。大田原マラソンでは完走するとあんぱんが貰えるんだよね。
ホテルの駐車場から車を出して、土浦市内にあるスーパー銭湯へ行き汗を流した。
車中、ランニング仲間から神戸マラソンサブスリーを達成した吉報が入った。
故障や体調不良で満足なレースができなかったが、コツコツと地道に諦めずに練習を積み重ねた成果が出たね。
本当におめでとう!
強烈なジャグジーバスで身体を浮かせながら、疲れもあってか、今までの出来事がグルグルと巡って眠くなる。
初めて走った大会のこと、みんなと一緒に楽しく練習したこと。
気が付いたら涙が頬を流れていた。達成した嬉しさの涙ではなく、感謝の涙。
ありがとう、ずっと応援してくれて本当に、ありがとう。
走りたいのに走れなくなってしまったマネージャーのためにも、笑顔でゴールできて良かったよ。


東京へ戻り子供達と祝杯!久しぶりのケーキ!


大会を振り返って。
この大会にエントリーした日から、サブスリーを目標に厳しい鍛錬を重ねた。
ただ走るだけの単純なマラソンというスポーツが、如何に過酷な競技だと改めて思わせてくれる練習内容だった。
ただ単純に「記録」だけを追い求める練習をしていたら、私の場合はすぐに故障して諦めていたかもしれない。
春夏秋冬、走ることの楽しさを味わいながら、日々刻々と移りゆく景色を堪能しながら、苦しくも楽しく練習し続けた結果なのかな。ずぶ濡れになりながら食べた塩大福は美味しかったな!
走れない理由を探すよりも走れる理由を見つければ、どんなに苦しい練習だって楽しく終えることができる。
余力を残してゴールすることを理想として、辛い練習を続けていたからだろう。
なんとも呆気なくサブスリーを達成してしまい、感極まったゴールでもなかった。
楽しさだけが溢れて笑いが止まらなかった。
絢香の「みんな空の下」を口ずさんで走ったつくばの地。
曇り空の下、あなたの笑顔は誰よりも輝いていた。また走るから応援して下さいね。

とっても楽しかった42.195km。来年は大田原マラソンでもう一度サブスリーをやってやる。