真っ暗な夜道にはポツリポツリと街の明かりが見え隠れしている。
周防国と長門国の国境を超えて、ようやく下り坂にさしかかり、「萩往還へようこそ」の看板が見えた道の駅を通過。
見かけた金属標は何故か五角形のホームベース型。
数多くの歴史的な遺構を巡る「萩往還マラニック大会」は今年で30回を迎えた。
https://www.sportsentry.ne.jp/event/t/71296
もっとも長い距離は250kmもある大会。今年で最後となってしまい非常に残念だ。
さすがに250kmの部にはエントリーする気にならなかったが、いつかは走り切りたい思いだった。
数多くの英傑達が走った道。激動の明治維新から150年後に私は生を受けた。
一応、士業を生業としているので、維新で活躍した自分の前世達の生まれ故郷を訪ねた。
マラソン大会よりも気分が高揚し始めたよ。
9時過ぎに東萩駅にあるホテルへチェックイン。
かなり遅くなってしまい、駅前は飲み屋しかなく、車で3分のところにある店で久しぶりのラーメンは少し辛めに、餃子も追加して♪。
滝汗爆汗になり疲労回復。
大浴場でぬくぬくとマッサージするが、ハーフしか走ってないから疲労度は半分。
なので、翌朝は4時半に目覚ましで起床し、5時過ぎから真っ暗な萩の街をジョギング。
ヘッドライトの光を頼りに、大きな河に挟まれた三角州地帯をぽくぽくと脚を進める。
昨日の雨は止んで、少し星も見え隠れ。
日本海に面しているのに風はやや南風で生暖かい。
海岸沿いは真っ黒な海面が動いているだけで、まったく風情は感じない。
西日本は日の出時間が東京より30分以上も遅い。
東京なら6時位になれば薄ぼんやりとなってくるけどね。
フル装備だったのでかなり爆汗で10kmのジョギングを終了。
朝食はバイキング。
今年はガチレースはもうない。好きなだけ食えるという幸せ。
自家製パンは米粉でできていて、少し温めてモチモチ感を味わった。
ホテル1階で自転車をレンタルし、ブラタモリの足跡を追ってみる。
かなり古いタイプの自転車は少し赤錆が目立つが、手入れはかなりされていて電動自転車なみに良く走ったよ。
おかあさん、ありがとうね。
3年前に世界遺産に登録され、玄関口となった東萩駅。
http://hagishi.com/miru/sekaiisan/
街の魅力を保つために様々な努力がされている。
夏みかんで有名な萩。いたるところに植えられていた。
東の都ではオリンピック景気に沸き、近代的な建造物が林立しているが。
地方都市で開かれたいくつもの大会において、人口減による街の衰退は目を覆うばかりだ。
しかし、中心市街地活性化させよう!という掛け声のもとに、徳山駅のように古い建造物を取壊し、思い切った街づくりをしている自治体もある。
2004年公布された景観法により、各自治体で様々な条例が施行された。
歴史的な景観をなんとか保持し、観光客を呼び込もうと切磋琢磨している。
平日ということもあって観光客は少ない萩の街を漕ぐ。
しばらくして、早朝のジョギングで通った明倫館に到着。
この子たちも後数年で通うことになるのかな。
平日だったので観光客は少なかった。
予約していなかったが、ガイドさんが無料で教えてくれた。
本館は無料で二号館は300円。お勧めは二号館だったが、本館がとても面白かったのでかなり時間を費やしてしまったよ。
萩の大地の始まり。
二号館は小川コレクションを展示。とても貴重なコレクションを拝見しました。
東京土地家屋調査士会のウィンドブレーカーを着ていたので、ガイドさんも説明するのに熱が入ったようだ。
平板とアリダートの原型。この業界に入りたての頃に使ったよ。原始的だけどミスはその場で気づくよね。
輪っかは大きくて引っ張りやすいね。もっと引っ張れ!!ってよく怒られたな。
小学生の身体に叩き込んでいてのかな、安息角。ものづくりの基本は角度。水平なのか直交なのか。
何かな?って見入ったら扇風機だって。
東洋と西洋の合作。
やってみた!
高杉晋作だった。
そうらしいが。笑。
成りきってみた??
二時間も費やしてしまい、時計を見ると12時に!
自転車に跨って武家屋敷跡へ。
ブラタモリの足跡を巡る。砂丘の高まり。高いほうに上級武士達が住まいを持っていた。
幕末の風雲児とのツーショット。
ランチは天ぷら定食がお勧めだって。
同時に店に入った方達がどう見てもランナーっぽい。萩と防府のどちらですか?と聞いたら防府だって!
雨で大変寒かったですねー。私はハーフで止めました・・・。って、ここから話が進まなかった。
聞き耳を立ててたら日野市の人だった・・・!多摩川ランナーかい!何故か悔しかった。
足りなかったので、夏みかんソフトクリームの暖簾が綺麗なカフェへ。
右側に見えるのが菊屋家。
条例で縛りがあるので、派手な外観にはできないとのこと。
お庭で摂れた夏みかんが入ってる。
マラソンから地面師事件、空き家やら所有者不明土地問題まで色々とお話が弾んでしまい慌ててお店を出て、向かいにある菊屋家を眺めた。
瓦は一枚ずつ取って洗って再利用するとのこと。重要文化財の維持は大変だね。
軽いペダルを漕いで次の世界遺産へと向かう。武家屋敷には必ず夏みかん。
萩反射炉跡に到着。
綺麗に積まれた安山岩。
珍しい境界標
観光バスが何台も停められる駐車場はセブンイレブンと宝くじとの共同利用。
古代から鉄等の金属は様々な用途に使用されてきた。
食べるため、物を買うため、物を運ぶため、そして、人を殺めるためにと。
大陸から稲作が伝わり、食料を大量に作り保存するには土地を確保する必要があった。
自分の土地はここまで!とか、土地も民も国のものだ!とか、太古の時代から土地にまつわる争いは絶えない。
外国の植民地化を避けるため、本音はどこにあったのか分からないが、鉄を大量に生産しようと試みた場所に立つ。
ツアーのガイドさんの説明を寒風を受けて聞いたよ。
隣を走る山陰本線の影響でかなり傾いている。
計測のためマーキングが多数付けられていた。
現在は補強されて傾きは止まったらしい。
が、石標はまだ傾き続けている。
北風もかなり強く吹き、日本海も荒海と化していた。
早朝見た海とはえらい違いな風景。カモメも飛べない。さすが日本海だ。
自転車を返却し、レンタカーで松陰神社へ。
学びの道は工事中で通れなかった。
目的を達成できず、29歳という若さでこの世を去ることとなった。さぞかし無念だっただろうに。
今年は没後160年にあたる。
彼の意思を受け継いだ英傑たちにより、明治維新ということばが適切かどうかは別として、諸外国からの侵略を防ぎ、欧米列強に劣らない近代国家の礎を築きあげたことは事実。
ただ向かうべきベクトルがあらぬ方向へと行ってしまった。
都は焼け野原となり、敗北をバネにして這い上がった。そして2度目のオリンピックを迎える。
地方と東京との格差は激しさを増すばかり。
東京都の法人二税を地方へ配分することになったが、根本的な格差の解消になるのかな。
観光業主体では働き手は僅かでしょう。地方都市の魅力を高め生き残るためには、土地所有権という財産権にある程度の縛りをかけ、歴史的景観を保全させる条例は必要不可欠。
東京のような大都市に追随して箱ものを作るような形式だけでは、魅力ある地方都市の特色は保てないでしょう。
今年も残り僅かになった。2013年から多くのマラソン大会にエントリーしたが、その殆どが地方都市での開催の旅ラン。
後何年走れるか分からないが、旅行者としてランナーとして地方都市を見守っていきたいな。
空港に到着しレンタカーを返却。
待ち時間にお腹がすいて少し萩をまた味わったよ。仙台銘菓じゃないけど美味しかった!